昔は駄菓子屋などで販売されていた「みかん水」ですが、駄菓子屋そのものが少なくなってしまった現在では、見かけることも少なくなってしまいました。
もともと「みかん水」は、主に各地の零細企業が生産していたこともあり、地域によってバラエティに富んだ飲料でもありました。
いわゆる、ご当地ドリンクの元祖なのですが、今では生産メーカーのほとんどが、時代の流れによって淘汰されてしまったと言います。
昭和レトロブームに乗った大手メーカーが「みかん水」として販売しているものもありますが、味も、歴史も、本来のみかん水とは異なったものです。
地元には地元のみかん水があり、旅先には旅先のみかん水がある。
しっとりとした甘みと、さらっとした酸味。質素な瓶に詰められた、美しい黄金色のジャンクドリンク。
それがみかん水。
ほとんど姿を消してしまったみかん水ですが。
今でも、高確率で「本物のみかん水」に出会える場所があります。
それは、銭湯です。
スーパー銭湯ではありません、昔ながらの普通の銭湯のことです。
基本的に銭湯は個人経営なので、ドリンクがまったく置いていないワイルドな所もありますが、実はお客さんに合わせて、様々な飲料を取り扱っているところが多いのです。
こだわりの強い銭湯になると、ご当地サイダーはもちろん、見たこともないようなマイナー・ドリンクを取り扱っている場合もあります。
みかん水もそのひとつで、銭湯では見かける確率の高い、メジャーなドリンクのひとつでもあります。
すっきりとした飲み口が、風呂上がりにもぴったりです。
これが、僕がよく利用する銭湯で販売されているみかん水です。
大きなお風呂で火照った身体に、この甘さがたまらなくおいしいのです。
シンプルな瓶に、黄色に透き通ったみかん水がつまっています。
レトロな王冠が、なんとも言えず素敵。
ほら、なんだか、みかん水を飲みに銭湯に行ってみたくなりませんか。
風呂上がりのみかん水を探しに、ぜひ、近所の銭湯ののれんをくぐってみてください。